家に帰ってきたとき、キッチンで料理をしているとき、行ってきますとドアを開けたとき、何気ない日常で、どんな景色を見たいですか?

車から見える景色、歩きながら見る景色。
座って見る景色。
大人の目線。子供の目線。

背の高さや、スピードによって、同じ景色でも見え方が変わってきます。
   

1年前、スムースが改装をしたとき、一緒に外構も改装しました。植栽も1本1本想いを込めて選んだので、今回はその内容を紹介したいと思います。

こちらが改装前の写真です。

   
植栽によってずいぶんと印象が変わりました。
今回の改修では「地球に還る家」をコンセプトに内装をリフォームしました。植栽もそのコンセプトに見合うように、木々の高さに変化をつけ、自然な雰囲気になるように計画しています。

   
スムースに来られる方の多くが、車で来られます。店舗の前を車で通りすぎ、駐車場に車を止めて、歩いて店内へと来られます。まずは、店舗の外観がしっかり見えるように、視線が抜け、奥まで見通せる樹種を選びました。

手前の1本を、視線の高さに葉が少ない、4.0mのアオダモを選んだので、緑量を感じながらも、圧迫感はありません。アオダモは枝の先に葉がつくので、うっそうとせず、心地のよい木漏れ日を取り込んでくれます。

日向ぼっこしたい場所に植えると、太陽の光とともに、風を通し、葉すれの音の心地よい空間を作ってくれます。白いまだら模様の幹も素敵ですね。

   
アオダモの横には、2.0mのマルバノキ。

木々の高さに変化をつけることで、より自然な雰囲気になります。対して、高さをそろえると街路樹のように都会的な雰囲気になります。どちらがお好みでしょうか? そう考えながら木々を選ぶと、ワクワクしますね。

   
マルバノキの魅力は紅葉にもあります。秋になると、赤や黄色、緑の葉が1本の木の中に同時に存在します。濃い色の外壁に、赤や黄、緑のハート形の葉っぱが映えて、とても可愛らしい表情を見せてくれます。

ベンチの横には、3.0mのヤマボウシ。

アイストップの効果をねらいました。「ここが入口ですよ」の目印です。

視線が流れてしまわないように、地ぎわから葉がついたボリュームのあるものを選びました。視線が止まることで、距離感がわかり、どこまで歩くんだろうという不安感を緩和します。・・・少し難しいですね(笑)

簡単に言うと、レンガのアプローチを挟んで左側を「歩きながら見る庭」、右側を「立ち止まって見る庭」の2つに分けて、植栽を考えました。ちなみに、このヤマボウシは部屋からも見えるため、360度どこから見ても美しい樹形のものを選んでいます。

アプローチの右側には、2.0mのソヨゴ。

常緑樹です。常緑樹とは、1年を通して葉をつけている木のことです。葉が落ちないわけではありませんが、落葉樹のように冬場に1枚も葉がないといったことはないので、冬場に緑を与えてくれる、とても貴重な木になります。ヤマボウシが落葉している間、アプローチ周りが寂しい景色にならないようにとの思いもあります。

ソヨゴは、風に揺れると「そよそよ」と心地の良い音を聞かせてくれるとのことから、ソヨゴと名付けられたそうです。とても涼しげな木ですね。オスとメスがあり、メスの木には赤い実がなります。冬場の貴重な食料なのか、ヒヨドリ?が食べに来ていました。

ソヨゴの横には、紅葉のとても美しいイロハモミジ。もちろん新芽の頃も美しく、萌黄色という言葉がぴったりの若葉を茂らせ、1年を通して美しい木です。店舗から一番よく見える位置に配置し、木の下を歩きやすいように1本立ちを選びました。

   
そして最後が、2.5mのシマトネリコ。

運転中にも緑を感じてもらえるように、常緑樹を道路側に植えました。(わき見運転は控えてくださいね。笑)また、ウッドデッキでハンモックに揺られるときに、道路からの音や視線を緩和させる緩衝帯としての目的もあります。

今回は高木のみを紹介しました。
1本1本それぞれの役割があってそこに植わっています。そしてなによりも、季節の移ろいに気づかせてくれる存在であってほしいと思っています。

萌黄色の若葉に初春を感じ、緑陰の隙間から夏の訪れを感じる。そして、色づく葉に秋を感じ、葉を落とした木立に冬をかみしめる・・・。

訪れた時に、打合せの合間に、ふとした瞬間に、そんな風景を垣間見てもらえたら嬉しく思います。そしていつか、自然の営みと共に過ごしていることを体感させてくれる緑地になってほしいなぁと思っています。

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これまでの「外構のおはなし」はコチラから
①ゾーニングと動線(暮らしの道)について
②駐車場について


yukinamatsushima

松島 幸奈 設計部

大阪府出身。2児の母。 大学でランドスケープを学んだのち、造園会社に就職。主に外構設計や造園設計を担当。生活動線をお家の中から外に広げ、敷地全体を使いこなせるようなプランを心がけてきました。その後、主人の転勤で福岡に移住。仕事の傍ら暇を見つけては、九州各地の温泉巡りを楽しみました。そのせいか子供もすっかり温泉好きに。滋賀に来てからも家族旅行は温泉が必須。みんなでお気に入りの温泉を探索中です。