自然素材の家は、木の温もりや快適な空気環境を感じられる住まいとして注目されています。一方で、ネット上で調べてみると「後悔」や「デメリット」といったネガティブな声も見受けられます。
自然素材の家に興味があるものの「実際のところどうなのか、建てた後に後悔しないのか」と不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、自然素材の家で後悔しないために知っておきたいデメリットや注意点、その対処法について分かりやすく解説します。自然素材の家ならではの魅力も紹介していますので、内容を理解したうえで検討してみてください。
自然素材の家・無垢の家とは、合板やビニールクロスといった工業製品ではなく、無垢材や漆喰、珪藻土といった自然由来の素材を使って建てられた家のことです。
従来の住宅に比べ、化学物質の使用が少なく、空気中の湿度を調整する力にも優れているため、シックハウス対策や快適性の面で注目されています。床や壁、天井といった肌に触れる部分に無垢材を使うことで、やさしい質感や木の香りが日常のなかで感じられます。
近年では、小さなお子様がいるご家庭やアレルギー体質の方、健康面を重視する方を中心に人気が高まっています。見た目の美しさに加えて、経年による味わいを楽しめることも支持される理由の一つです。
自然素材の家には、一般的な住宅にはない魅力がある一方で、独特の特徴に戸惑う方も少なからずいます。見た目や使い勝手の面で、人によっては「少し合わない」と感じるケースもあるため、事前にその詳細について理解しておくことが大切です。
ここでは、自然素材の家のデメリットと言われている内容について解説していきます。
無垢材は一本ごとに木目や色合いが異なるため、床や壁に張ったときに「模様がちぐはぐに見える」「なんか統一感を感じない」と感じる人もいます。とくに家具や内装の色味を揃えたい方は、木の濃淡の差や節の出方が気になる可能性があります。
特に完成直後はバラつきが目立ちやすく、見た目にこだわる人ほど違和感を抱いてしまうかもしれません。ただし、これらの見た目は経年変化により木の色味などは徐々に落ち着いていくため、数年暮らすうちに全体が馴染み、気にならなくなったという人もいます。
どうしても節や濃淡が気になる場合は、施工前に材のグレードや選定基準を相談し、比較的表情が揃った部材を選ぶことで、ある程度は調整が可能です。
自然素材は化学物質を使わないことを理由に選ぶ人もいますが、植物由来である以上、全ての人に合うとは限りません。たとえば杉やヒノキは花粉症の原因にもなる樹種で、木材そのものに過敏反応が出るケースもあります。
また、調湿性のある珪藻土や漆喰でも製造時の成分や施工中の粉塵によってアレルギー症状が出ることもあります。こうしたリスクを避けるには、使用する素材を事前に確認し、家族の体質と相性がよいかどうか確かめることが重要です。
建築前の段階でサンプルを取り寄せて、実際に触れたり匂いを嗅いだりするだけでも判断材料になります。必要に応じて樹種や塗料の変更を工務店に相談しましょう。
自然素材は年月とともに風合いが変わるという特徴があります。それを「味わい」と感じる人もいれば「劣化」と捉える人もいます。特に日焼けによる色ムラや、乾燥による軽いヒビ、節周りの変色などは、暮らしの中で目に入りやすく、気にしてしまうケースも珍しくありません。
これらの変化には経年による自然な風合いの深まりに加え、多少の劣化が含まれるのも事実です。ただし、構造的な問題ではなく一般的な新建材と比べて性能が悪いというわけではありません。
むしろ、時間とともに住まいに個性がうまれ、家族の暮らしに寄り添うような味わいが出てくるのが自然素材の魅力です。どうしても気になる場合は、色ムラが出にくい塗装仕上げを相談してみましょう。
自然素材は見た目や質感に優れている反面、一般的な建材よりも日頃の手入れが求められることがあります。たとえば無垢材の床は、湿気や乾燥の影響を受けやすく放置すると反りや変色の原因になることもあります。
表面にウレタンなどのコーティングを施していない自然仕上げの木材は、定期的な乾拭きや専用オイルでのメンテナンスが必要です。「掃除は最低限で済ませたい」「お手入れを極力したくない」と考える人にとっては負担に感じるかもしれません。
お手入れの内容や頻度は事前に確認し、自分たちの暮らしと無理なく合うかを見極めてみましょう。ただしお手入れしたほうが風合いが損なわれにくいというだけで、絶対に必要というわけではありません。
無垢材や土壁などの自然素材は、室内の湿度や気温の変化に敏感に反応します。そのため、冬場の感想や夏場の高湿度などが影響し、素材の反りや軽微なひび割れが起こることがあります。
床材がわずかに浮いてきたり、壁に細かな線状の割れが見られるなど、住みながら気づくケースもあります。これらは構造に問題が出るような欠陥ではなく、自然素材が呼吸をしている証拠ともいえます。
このような変化が気になるという場合は、設計段階で湿度調整がしやすい構造を工務店に相談してみたり、反りの少ない乾燥材を部分的に選定したりすることでリスクを軽減可能です。
自然素材の家は、無垢材や塗り壁、天然由来の断熱材など素材そのものの価格が高めな傾向があります。また、施工にも専門的な知識や丁寧な作業が求められるため、人工素材を使った一般的な住宅と比べて、どうしても初期費用が上がりやすくなります。
実際に建てた人のなかには「同じ広さでも数百万円の差があった」「予想以上に高くなった」と感じる人も少なからずいるでしょう。ただし、自然素材は耐久性に優れているものも多く、長期的に見れは修繕費が抑えられることもあります。
費用をなるべく抑えたい場合は、自然素材を使う場所を「見た目や肌触りの影響が大きい部分」に限定するなど工務店に相談できます。予算とバランスを取りながら、自分たちの優先順位に合わせた家を計画しましょう。
キッチンや洗面所、トイレなどの水回りに自然素材を使う場合は、特に注意が必要です。無垢材の床やカウンターは水はねや湿気の影響を受けやすく、放置するとシミや膨張、カビの原因になることがあります。
ただし、近年は使用シーンに応じて適切な素材を使うようになっており、水回りは自然素材を避けるという依頼も可能です。自然素材を暮らしに取り入れる際は、全てを無理に統一するのではなく、素材の特性に応じて使い分ける柔軟さが求められます。
ここまでデメリットを解説してきましたが、実績豊富な工務店では、こうした悩みや課題を熟知しており、対応策のノウハウも豊富に持っています。気になることがあれば、早い段階で遠慮なく相談し、後悔のない家づくりを進めていきましょう。
自然素材のデメリットなどについて実際の声も交えて解説してきましたが、その中で挙げた多くの変化や特性は、自然素材ならではの個性であり決して欠陥ではありません。
むしろ、一般的な住宅では得られない感覚や空気感、住み心地の良さがあるからこそ、多くの方に選ばれています。ここでは、自然素材の家ならではの魅力や日々の暮らしの中で感じられる心地よさについて紹介します。
無垢材の床に素足で立ったとき、ふんわりとしたやわらかさやひんやり感の少なさに驚く方は少なくありません。金属やビニールのような人工素材とは違い、肌に触れた瞬間から”人に近い”温もりが伝わってきます。
小さな子供が床の上で過ごす時間が長くても安心できるという声も多く、感触だけでなく安全性の面でも信頼されています。たとえば、階段の手すりやドアノブなども、自然素材をつかうことで触れた時の刺激がなく、日常の中にやさしさがしみ込んでいきます。
こうした感触の積み重ねは、目には見えなくても住む人の心をじんわりと和らげてくれます。ふとした瞬間に「なんだかホッとする」と感じられるのは、自然素材の家ならではの魅力といえるでしょう。
自然素材の家は、夏の蒸し暑さや冬の底冷えを和らげてくれる住まいです。たとえば、無垢材は内部に空気を含んでおり、熱伝導率が低いため、触れた時の冷たさや熱さを感じにくい特性があります。
冬でも床がヒヤッとしにくく、夏はベタつかずサラッとした足ざわりが続く理由の一つです。また、漆喰や珪藻土などの塗り壁には湿度を調整する働きがあり、室内がムシムシしすぎたり乾燥しすぎたりするのを自然に緩和してくれます。
断熱材や建材にこだわるのも大切ですが、素材そのものの性質を活かした家づくりは、体感としての”快適さ”を長く支えてくれる力になります。
自然素材の家に足を踏み入れると、ふわっと立ちのぼる木の香りに、ほとんどの方が「落ち着く」感じます。これは単なる好みの問題ではなく、木に含まれる「フィトンチッド」という成分によるものです。
森林浴と同じ効果があるとも言われ、リラックス作用や気分の安定につながるとされています。実際に住んでいる人からは「帰宅した瞬間に深呼吸したくなる」「空気が重たくない」といった声も多く、人工的な匂いや閉塞感が少ない空間に、無意識のうちに安心できます。
木の香りは年数とともに柔らかく変化していきますが、完全に消えるわけではありません。五感を使って過ごすことが増え、暮らしにゆとりが生まれることも自然素材の家ならではの魅力といえるでしょう。
自然素材の家に入ったとき、光の当たり方や陰影、手触りの違いにふと気づくことがあります。たとえば無垢材の床には一枚ごとに微妙な色の違いや立体感があり、自然光が当たることで表情が変わります。
塗り壁には均一ではない凹凸があり、時間帯や証明の色によって空間の印象がゆるやかに変化していきます。この”揺らぎ”が空間全体に奥行きを与え、決して豪華ではないのにどこか上質な雰囲気を感じさせてくれるでしょう。
毎日暮らすなかで「なんだか落ち着く」「飽きがこない」と感じる理由は、こうした素材の質感が自然と空間に深みをもたらしていることも影響しています。
自然素材の家は、住み手の手入れ次第で味わいが深まっていく住まいです。たとえば無垢材の床にうっすらとキズがついたとしても、そこにオイルを塗れば、色がなじみ、いつの間にか目立たなくなります。
水拭きで落ちない汚れも、やすりで軽く削れば元通りになることもあり、こうした”なおせる”安心感があるのも魅力です。よくある合板や人工的な素材は、傷がつくと目立ちやすく使い込むほど古びた印象になってしまうことがあります。
自然素材の家では、そうした変化も味として積み重なっていきます。手をかけるたびに愛着が増し、いつの間にか「この家が好き」と思えるようになることも魅力と言えるでしょう。
先ほどは「経年変化」をデメリットの一つとして紹介しましたが、それを魅力と感じる方も多くいます。自然素材の家は、時間の経過とともに、見た目や質感が変わっていくため、暮らしの歴史がそのまま家に刻まれていくような感覚があります。
たとえば、新築時には明るかった無垢材の床が、数年たつと落ち着いた色に変わり、部屋に深みが出てきます。小さなキズや節も生活の一部としてなじみ「どんどんこの家が好きになる」と感じる人も少なくありません。
人工素材のように時間が経つほど劣化が目立つのではなく、自然素材は変化することで味わいが増していきます。定期的なお手入れをしながら住み続ければ、家は家族にとってかけがえのない存在へと育っていくでしょう。
自然素材の家のデメリットや魅力について解説してきましたが、後悔しない家づくりをするためには、あらかじめ「自然素材の家とはそういうもの」と受け止める心構えも大切です。
手間がかかったり、独特の見た目の変化はありますが、自然素材の個性であり正しく理解しておけば不安に感じることはありません。ここでは、自然素材の家を選ぶうえで知っておきたい考え方や視点について解説します。
自然素材の家は、建築時の費用が高くなる傾向ですが、実際に住み続ける中でかかる「暮らしのコスト」に目を向けてみると見え方が変わってきます。たとえば、無垢材の床はキズや汚れがついても部分的な補修で済むことが多く、前面の張替えが必要になるケースは少なめです。
また、漆喰や珪藻土の壁は静電気を帯びにくいため、ホコリが付着しにくく、掃除の頻度や労力を軽減できるという利点があります。さらに、調湿性によって結露やカビが発生しにくく、結果として修繕費や健康面のリスクも抑えやすくなります。
もちろん、全ての家が同じコストで住むとは限らず、暮らし方によって状況は変わりますが、初期費用だけで判断せずに維持のしやすさも含めてコストを考えることが大切です。
自然素材の家は、その時々で楽しむことができるため、新築の家が完成した瞬間が”完成形”ではありません。むしろ住み始めてから少しずつ変化し、家族の暮らしと共に育っていく住まいです。
たとえば、最初は真新しかった床に味わいがでてきたり、壁の色が柔らかく落ち着いてきたりといった変化は暮らす人の時間の流れそのものです。人工素材のように均一なままではないからこそ「この家とともに年を重ねている」と実感できます。
日々の暮らしの中で素材の変化を受け入れ、自分たちらしい家へと育てていく感覚も、自然素材の家ならではの楽しさと言えるでしょう。
自然素材の家を長く快適に保つためには、素材の特性を理解し、無理のない範囲で手をかけていくことが大切です。ただし、特別な作業が常に求められるわけではなく、基本的には日常的な掃除や換気といった一般的なお手入れで問題ありません。
そのうえで、たとえば無垢材の床には年に1〜2回程度、専用オイルを塗ってあげるとツヤや耐久性が高まり、乾燥や汚れにも強くなります。費用は床の広さにもよりますが、自分で行う際には数千円程度で作業可能です。
漆喰や珪藻土の壁も普段は軽い掃除で問題ありませんが、小さなヒビや汚れが気になる場合は、部分補修も可能です。施工店のアフターフォローも含めて、相談時に確認しておくといいでしょう。
自然素材の家には多くの魅力がありますが、ならではの特徴もあり、全ての人にとって最良の選択になるわけではありません。暮らしのスタイルや価値観によっては、手間や変化がストレスに感じることもあるため、適性を知っておくことが大切です。
【自然素材の家が向いている人】
・多少の変化や不揃いも味として楽しめる
・掃除やお手入れを苦に感じない
・人工的な素材や化学物質を成るべく避けたい
・家に自分らしさを求めたい
【自然素材の家が向いていないかもしれない人】
・汚れやキズ、不揃いをできるだけ避けたい
・見た目の変化に敏感でよく思わない
・住まいに均一さや真新しさを最優先する
上の内容がすべてとは限らないものの、参考にしながら検討してみましょう。どちらにも当てはまる項目がある場合は、具体的なこだわりを工務店に相談してみるのもおすすめです。
自然素材の家の特徴や注意点、魅力について解説してきましたが、マイホームを検討するうえでまだまだ気になることがあるという方もいるでしょう。
ここでは、自然素材・無垢材の後悔に関する、3つのよくある質問に答えていきます。
無垢材や自然素材の家は、30年後も適切なメンテナンスを行えば、美しさと快適さを保ち続けることが可能です。年月を重ねることで、木材の色合いやツヤが深まり、独自の風合いが増していきます。
ただし、湿度管理や定期的なお手入れを怠ると反りや割れ、すき間などの問題が生じる可能性があり、状態によって工務店による補修が必要となります。ちなみに、劣化の内容は異なりますが、30年後の劣化は自然素材の家だけでなく一般的な住宅も共通するものです。
無垢の家に否定的な声があがる主な理由は、手間や見た目の変化に対するストレスがあります。床の傷やシミが目立ちやすい、湿気による反りやひび割れが起きる、掃除やメンテナンスに気を遣うといった内容に抵抗を感じる人もいます。
今回解説したデメリットと魅力の双方を正しく理解したうえで、検討するようにしましょう。
無垢の家だからといって、ゴキブリが出やすいといった根拠はありません。ただし温度や湿度を保ちやすいため、室内の環境によってはゴキブリにとって居心地の良い空間になることもあります。
また、通気性やすき間のある設計にすることで、構造上侵入しやすいと感じる人もいるようです。ただこれは、自然素材かどうかではなく家の設計や掃除の頻度、換気の状態など生活環境の影響が大きいといえます。
一般的な住宅と同じく、こまめな掃除を行い虫が好まない環境を作ることが大切です。
自然素材の家は、素材そのものの魅力だけでなく設計や施工の技術によって快適さや住み心地に大きな差が生まれます。素材の扱いに慣れていなかったり、経年変化への配慮が不十分だったりすると、住み始めてからの住みやすさに差が生じます。
だからこそ、工務店選びは非常に重要です。自然素材の特性を理解しているか、暮らし方や土地の特性まで踏まえた設計提案をしてくれるのか、地域の気候を熟知しているか、チェックしましょう。
また、要望に沿って作り上げてきたこれまでの実績や施工品質の担保、住んだ後のサポート体制まで詳しく確認しましょう。建てて終わりではなく、住み始めてからの安心まで見据えた工務店こそ、自然素材の家づくりのパートナーとしてふさわしいといえるでしょう。
自然素材の家づくりについてさまざまな視点から解説してきましたが「家族との想いと素材の力を活かした、心地よい暮らし」を大切にしているスムースなら、きっとお役に立てるはずです。
私たちは、ただ素材を選んで家を作るのではなく、そのご家族がどのように暮らしてきて、これからどう暮らしていきたいかを丁寧に伺うところから家づくりを始めます。そして土地の特性や光、風の通り方なども踏まえながら、家族らしい「暮らしの道」が描けるよう設計を行っています。
無垢材や漆喰といった自然素材を正しく活かし、永く安心して住み継いでいただけるよう、設計・性能・施工・アフターサポートまで一貫して対応しています。自然素材の家づくりに不安がある方も、どうぞお気軽にご相談ください。
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