自然素材の家はデメリットも味方にできる!?後悔しないための考え方

自然素材の家と聞くと多くの人が「木のぬくもりや漆喰のやさしさに包まれた、心地よい暮らし」を思い浮かべます。実際に無垢材や自然素材を使った家づくりは人気で、特に近年では多くの人が選択しています。

しかし一方で、ネット上には「デメリット」や「後悔」といったネガティブな声も少なからず見受けられます。「本当に自然素材の家で大丈夫なのか」と、不安に感じている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、自然素材を活かした家づくりを数多く手がけてきたプロの視点から、自然素材の家でよく言われる“デメリット”を一つひとつ掘り下げ、実際の生活でどう感じるのか、どんな工夫で快適に暮らせるのかを丁寧に解説していきます。

自然素材の家とは無垢材や漆喰など本物素材に包まれた家のこと

自然素材の家とは無垢材や漆喰など本物素材に包まれた家であることを解説するイメージ

自然素材の家とは、建材に化学物質をできるだけ使わず、自然界にある素材を活かして建てられた住まいのことです。代表的なものに、無垢材、漆喰、珪藻土、和紙、羊毛やセルロースファイバーといった天然の断熱材などがあります。これらの素材は加工が少なく、湿気を吸ったり吐いたりする性質があるため、室内の湿度を自然に調整してくれる特徴があります。

一般的な住宅では、集成材やビニールクロス、合板フローリングなど、加工しやすく安価な人工建材が多く使われますが、これらには接着剤や合成樹脂が使われるため、揮発性の化学物質が室内に広がる可能性があります。一方、自然素材の家では、素材そのものが持つ力を活かし、空気環境や断熱性、調湿性といった住み心地の面で人の体に優しい暮らしを実現できます。

自然素材の家に住むデメリットと言われていること

自然素材の家に住むデメリットと言われていることについて解説するイメージ

自然素材の家には、健康的で心地よい暮らしを支える魅力がたくさんある一方で、一般的な住宅とは異なる特性や注意点も存在します。人によってはそれが不便に感じられたり、戸惑いの原因になったりすることもあるかもしれません。

ここでは、そうした“気になるポイント”について整理しながら、実際の暮らしにどう関わってくるのかを見ていきましょう。

乾燥や湿度変化で木材に反り・割れが起きることがある

無垢材などの自然素材は、湿気を吸ったり吐いたりする性質があり、季節や室内環境の変化に合わせてわずかに伸縮します。この動きが大きくなると、木材に反りや割れが生じることがあります。集成材や合板などの人工素材は複数の木片を接着して安定させているため、自然素材ほど動きません。

反りや割れが起きると、見た目の印象が変わったり、床材の場合はすき間やきしみの原因になることもあります。ただし、木の乾燥状態を見極めた上で含水率の低い材を使う、設計段階で適切な施工方法を選ぶなどの工夫で、発生リスクを大きく抑えられます。

キズや凹みができやすく、目立ちやすい

自然素材の代表である無垢材は、柔らかさやあたたかみが魅力ですが、その反面、衝撃に弱くキズや凹みがつきやすいという特性があります。特にスギやパインなどの針葉樹系の木材は柔らかく、家具を引きずったり物を落としたりすると跡が残りやすくなります。

一方、合板フローリングなどの人工建材は表面が硬く加工されているため、日常的な摩耗には強く、キズも目立ちにくい傾向です。ただし、自然素材のキズは時間が経てばなじみやすく、自分で補修しやすいのも特徴です。日頃から家具の脚にフェルトを貼る、土足を避けるなどの工夫で、キズのリスクは十分に抑えやすくなります。

メンテナンスに手間と費用がかかる

自然素材は素材そのものの風合いや性能を保つために、ある程度のメンテナンスが必要になります。たとえば無垢の床材は、年数が経つと表面が乾燥してツヤが落ちたり、手触りがざらついたりすることがあります。このような場合、オイルを塗り直せば美しさと機能性を取り戻すことが可能です。

ビニールクロスや樹脂製の建材は表面が加工されているため、基本的に手入れの頻度は少なくて済みます。ただし、自然素材のお手入れは「必ず決まった時期にしなければいけない」ものではありません。大掃除のついでや気になったときなど、ライフスタイルに合わせて無理なく取り入れられます。

アレルギー体質によっては逆に体調を崩すケースもある

自然素材は化学物質を抑えた安心な素材というイメージがありますが、体質によっては逆にアレルギー反応を引き起こすケースもあります。たとえば、柿渋やヒバ油、自然塗料に含まれる成分が皮膚に合わなかったり、珪藻土や漆喰の粉じんが体質に合わなかったりする場合もあります。

人工建材のように化学物質は少ないものの、「自然由来=誰にとっても無害」というわけではありません。こうしたリスクは、使用する素材を事前に確認したり、サンプルで実際に触れてみたりすると判断しやすくなります。

初期コスト(建築費用)が高くなる傾向にある

自然素材の家は、一般的に建築時の初期費用が高くなる傾向があります。無垢材や漆喰などの本物素材は、加工や調達に手間がかかるうえ、施工にも専門的な技術を要するため、人件費や材料費が上乗せされやすくなります。

一方、集成材やビニールクロスなどの人工建材は大量生産が可能で、施工も比較的簡単なためコストを抑えやすいという特徴があります。ただし、自然素材は耐久性が高く、長期的に見れば補修や交換の頻度を抑えやすくなっています。単純な建築費用の比較だけでなく、将来的な維持コストや快適性まで視野に入れることが大切です。

自然素材ごとにクセがあり選定に知識が必要

自然素材は種類ごとに性質が異なり、一見似たように見えても扱いやすさや経年変化の仕方、適した用途が大きく異なります。たとえば、同じ無垢材でもオークは硬く重厚でキズに強い一方、スギやパインは柔らかく軽やかですがキズがつきやすい傾向があります。

漆喰や珪藻土も調湿性に優れますが、施工方法や仕上がりにクセがあるため、選び方を間違えると理想とかけ離れた仕上がりになってしまうこともあります。見た目や価格だけで判断せず、素材の特性や生活スタイルに合ったものを選ぶには、プロの意見を聞きながら検討することが大切です。

大手ハウスメーカーでは自然素材標準仕様の選択肢が少ない

大手ハウスメーカーの多くは、全国共通の標準仕様やプレカット工法、大量生産によってコストと施工期間を抑える仕組みを採用しています。そのため、自然素材のように一点ごとに性質が異なり、職人の手作業を必要とする建材は標準仕様として採用されにくいのが実情です。

無垢材や漆喰を使いたい場合、希望どおりにいかないこともあるため、まずは自然素材を得意とする工務店を探すところからスタートする必要があります。家づくりにかける労力が少し増えるかもしれません。しかし最近では、ネット上で積極的に情報発信している工務店も多く、比較的スムーズに見つけやすくなっています。

時間の経過による色変化

無垢材や漆喰などの自然素材は、紫外線や空気に触れることで徐々に色味が変化していきます。これは素材に含まれる成分が酸化したり、日光によって焼けたりする自然な現象です。たとえば無垢のフローリングは、施工直後の明るい色から、数年かけて深みのある飴色へと変わっていきます。

これを「味わい」と捉える人もいれば、「思っていた色と違ってきた」と感じる人もいるかもしれません。人工建材は色や質感が変わりにくいため、当初の見た目を長く保てますが、そのぶん自然な変化を楽しむという点では物足りなさを感じることもあります。色の変化が気になる場合は、日当たりを調整するなどの工夫も有効です。

シロアリや害虫対策に注意が必要

自然素材の家では、無垢材を多く使うことからシロアリや害虫のリスクが心配されることがあります。確かに、乾燥材を多用する人工建材に比べると、木そのものが持つ成分や通気性のある構造は、シロアリにとって居心地がよい環境と言えるかもしれません。

ただし、日本では法律により防蟻処理が義務づけられており、さらにヒノキやホウ酸処理などの工法も確立されています。シロアリ被害は自然素材に限らず、一般住宅でも起こり得る問題です。実際に被害が出るかどうかは、素材の種類よりも施工の質や住んだ後の管理意識の方がはるかに重要です。

気密性・断熱性を確保するため設計に工夫が必要

自然素材の家では、気密性や断熱性の確保に一層の配慮が求められます。無垢材や天然素材は工業製品のように寸法が完全に揃っているわけではないため、わずかなすき間が生じやすく、外気や湿気が入り込む要因になりがちです。

また、自然素材の断熱材も、湿気に影響を受けやすい性質があるため、施工精度や通気層の設計も重要になります。ただし、これらは素材の特性を理解した上で、気密シートや高性能断熱材の併用、設計段階での工夫を施すことで十分にカバーできます。

「株式会社スムース」では、見学会やセミナーなどを通じてまずは知ってもらうことに力を入れています。自然素材の家に関する、悩みや不安がありましたらお気軽にご相談ください。

 自然素材の家のデメリットって本当にデメリット?

 自然素材の家のデメリットって本当にデメリットなのか、解説していくイメージ

自然素材の家でよく言われる“デメリット”について紹介してきましたが、どれも適切な対策や理解があれば十分にカバーできるものばかりです。そして実は、こうした特徴そのものを「魅力」として楽しんでいる人もたくさんいます。

ここまで紹介してきた“デメリット”の感じ方がどう変わるのか、自然素材の家をもっと好きになるための視点をご紹介していきます。

多少のキズや色の変化は「味」として楽しめる

無垢材の床やドアなど、自然素材は使い込むほどにキズや色の変化が現れます。たしかに新品のような状態を保ちたい人にとっては気になるかもしれませんが、こうした変化は、自然素材が“生きている”からこそ起こるものです。

時間とともに深まる色味や、ふとしたキズが暮らしの記憶として積み重なることに、魅力を感じる人も少なくありません。素材の経年変化を「味」として受け入れられるかどうかで、自然素材の家に対する感じ方は大きく変わります。

自然素材ならではの経年美化を味わえる

自然素材の家には、年月とともに深まる「経年美化」の魅力があります。無垢のフローリングは、使い込むほどに色合いが変化し、落ち着いた光沢が出てくるのが特徴です。木製の階段や手すりも、触れるうちになめらかさが増し、手になじむようになります。

外壁に使われる杉板は、紫外線や風雨を受けてシルバーグレーへと変わり、自然ならではの趣を漂わせます。漆喰の壁は経年とともにやさしい表情を帯び、空間全体に温かみを添えてくれます。こうした変化は、人工建材では味わえない、自然素材ならではの醍醐味といえるでしょう。

住む人に合わせて変化していく家の魅力

自然素材の家は、年月だけでなく、住む人の暮らし方によっても表情を変えていきます。たとえば、土間玄関のある家では、出入りが多い場所の床にうっすらと摩耗が生まれ、家族の動線が味わいとして刻まれていきます。

ダイニングテーブルの下では、椅子の出し引きによる擦れが、日々の暮らしの気配として少しずつ積み重なっていくでしょう。日当たりの良い窓辺の木製カウンターは、太陽の光をたっぷり浴びて徐々に色づき、その家ならではの風景をつくり出します。

「人の使い方に応じて素材が変化し、家とともに成長していく」そんな感覚が味わえるのも、自然素材の住まいならではの魅力です。

細やかなメンテナンスで愛着が深まる

自然素材の家には、暮らしながら手をかける楽しみがあります。たとえば、乾燥してきた無垢の床にオイルを塗ると、木目がしっとりとよみがえり、触れたときの感触も心地よくなります。漆喰の壁に入った小さなひびを自分で補修すれば、住まいと対話しているような感覚を味わえるでしょう。

家具の表面を布で磨き直すだけでも、素材に命が吹き込まれたような変化を感じられます。こうした細やかな手入れを重ねることで、家に対する愛着が少しずつ深まり、「ただの建物」ではなく「育てていく我が家」になっていきます。

自然素材の家は初期費用以上の価値をもたらしてくれる

自然素材の家は、たしかに一般的な住宅と比べて初期費用が高くなる傾向があります。しかしその分、長く暮らしていく中で得られる価値は非常に大きいものです。

たとえば、断熱性や調湿性に優れた素材が快適な室内環境を保ち、冷暖房費の抑制につながることもあります。また、経年美化によってむしろ愛着が増していき、定期的な補修で住まいを長く保ちやすくなるものです。

家としての寿命が延びれば、大規模なリフォームや建て替えの頻度も抑えられます。コストだけでは見えない満足感や安心感を含めて、「建ててよかった」と実感できる住まいになるはずです。

適切な素材選びでアレルギーリスクも防げる

自然素材は「体にやさしい」というイメージがある一方で、すべての人にとって無害とは限りません。植物由来の塗料や、特定の木の成分がアレルゲンになるケースもあります。しかし、素材の性質を正しく理解し、自分や家族の体質に合わせて選べば、リスクは十分に避けることができます。

たとえば、無垢材でも広葉樹より針葉樹の方が香りが強く、体質によっては控えたほうがいいこともあります。実際にサンプルを取り寄せて触れてみたり、においを確認したりすることが、安心感につながる第一歩です。選び方さえ間違えなければ、自然素材の家は健康面でも大きな安心をもたらしてくれます。

設計と施工技術で高気密・高断熱も実現できる

自然素材の家は、気密性や断熱性が確保しづらいと思われがちです。しかし、設計段階での細かな調整や、気密シート・高性能断熱材との組み合わせによって、十分に高性能な住まいを実現できます。

実際に自然素材の家で断熱等性能等級6以上をクリアしている事例もあり、設計と施工の技術があれば難しい話ではありません。自然素材を使いたいからといって、快適性や性能をあきらめる必要はありません。

自然素材の家にはデメリット以上にメリットがたくさんある

自然素材の家にはデメリット以上にメリットがたくさんあることを解説するイメージ

自然素材の家でよく言われる“デメリット”とされる特徴や、それをどう楽しめるかについてご紹介してきました。しかし実際には、それ以上に大きな魅力やメリットがたくさんあるのも自然素材の家の特徴です。

見た目の美しさや手触りの良さだけでなく、暮らす人の健康や心地よさに関わる部分でも、人工建材にはない価値が詰まっています。ここでは、自然素材の家がもたらしてくれる具体的なメリットについてお伝えしていきます。

室内の空気がきれいで健康に良い

自然素材の家は、室内の空気環境に大きな違いを生み出します。無垢材や漆喰、自然塗料などは、一般的な建材に比べて揮発性有機化合物(VOC)の発生が少なく、ホルムアルデヒドなどの化学物質による空気汚染を抑えられます。

さらに、漆喰や珪藻土は湿気や臭いを吸着・分解する性質があり、自然な空気浄化も可能です。無垢材には調湿作用もあり、カビやダニの発生しにくい環境づくりも可能です。また、静電気が起きにくくホコリも舞いにくいため、アレルギーやぜんそくの予防にもつながると考えられています。

年中快適な温度・湿度を保ちやすい

自然素材の家は、室内の温度や湿度をゆるやかに調整する力を持っています。たとえば、無垢材や珪藻土には調湿性があり、湿気が多いときには吸い取り、乾燥しているときには少しずつ放出する性質があります。これにより、梅雨時でもジメジメしにくく、冬の過乾燥を和らげることも可能です。

また、木材は断熱性や保温性にも優れており、体感温度が安定しやすくなるのも特徴です。冷暖房に頼りすぎず、自然の力で快適な空間が保たれるため、心身への負担が少なく、暮らしやすさにもつながります。

 触れたときの心地よさや安心感がある

自然素材の家は、見た目のやさしさだけでなく、触れたときの心地よさも大きな魅力です。たとえば無垢の床は、足裏に感じるやわらかな温もりが特徴で、冬場でも冷たさを感じにくくなります。表面が硬すぎないため、子どもが裸足で走り回っても安心ですし、ペットにもやさしい素材です。

壁に使われる漆喰や和紙も、手で触れたときに自然な質感があり、機械的な仕上げとはまったく異なる印象を与えます。肌にふれるたびにやわらかさやあたたかさが伝わる家は、身体だけでなく気持ちにも安心感をもたらしてくれます。

自然由来の素材がもたらすリラックス効果

自然素材の家は、空間そのものがリラックスできる環境をつくってくれます。たとえば、無垢材からほのかに香る木の成分「フィトンチッド」は、森林浴と同じように自律神経を整える働きがあるとされています。漆喰や珪藻土のやわらかな質感も、視覚や触覚を通じて自然と気持ちを落ち着かせてくれます。

こうした自然由来の素材が生む空間は、ストレスを軽減し、心にゆとりをもたらすと感じる人も少なくありません。五感にやさしく働きかける住まいは、慌ただしい毎日にこそ大きな価値を発揮してくれます。

家族の歴史を刻み世代を超えて残る家

自然素材の家は、ただ長持ちするだけでなく、住む人の暮らしをそのまま刻んでいく住まいです。無垢の床についたキズやツヤの変化、手すりのなめらかさは、家族が過ごしてきた時間の証とも言えます。

しっかりとした構造と素材の耐久性があれば、大きなリフォームを繰り返さずとも、何十年と住み継ぐことができます。実際に、親から子へ、子から孫へと自然素材の家が受け継がれているケースも少なくありません。

手をかけながら長く大切にされる家は、単なる建物ではなく、家族の記憶とともに価値を深めていく存在になります。

自然素材の家のデメリットも工夫次第で魅力に変わる

自然素材の家には、確かに一般的な住宅にはない特徴や手間もあります。しかし、それらは暮らしに向き合い、家族とともに時間を重ねていく中で、むしろ“豊かさ”として感じられるようになるものです。

家族の暮らし方に寄り添い、素材の選び方から設計、つくり込みまでを丁寧に考えることで、自然素材の魅力はさらに大きく育っていきます。自然素材の家を、家族らしい暮らしをかたちにする第一歩として考えてみましょう。

スムースでは、「家を建てること」ではなく、「その先の暮らしをつくること」を家づくりの本質と捉えています。素材の力を活かしながら、家族の想いを住まいのかたちにすること。それが、スムースが大切にしている家づくりの在り方です。自然素材の家に興味を持たれた方は、ぜひ一度スムースの家づくりに触れてみてください。モデルハウスのご見学や資料請求はいつでも受け付けています。あなたとご家族の“これから”を一緒に考える、きっかけになれば幸いです。