自然素材の家に使える補助金制度とは?|制度の種類・条件・注意点まで分かりやすく解説

自然素材の家に使える補助金制度とは?|制度の種類・条件・注意点まで分かりやすく解説するイメージ

近年、シックハウス症候群による健康被害や、子どものアレルギー対策として自然素材を選ぶ人が増えてきています。自然素材の家は、脱炭素社会の実現や環境負荷の軽減といった課題にも有効なため、国ではさまざまな補助金制度で後押ししています。

こうした制度を上手に使えば、建築費を大きく抑えることも可能です。この記事では、自然素材の家に使える補助金制度の種類や条件、注意点について分かりやすく解説します。

【結論】自然素材の家づくりで使える補助金は意外と多い

【結論】自然素材の家づくりで使える補助金は意外と多いことを解説するイメージ

自然素材の家づくりでは、国の補助金制度をうまく活用することで、負担を減らせる可能性があります。たとえば「子育てエコホーム支援事業」や「長期優良住宅の補助金制度」、「ZEH補助金」などが代表的です。さらに、地域によっては独自の補助制度を設けている自治体もあります。

こうした補助金にはそれぞれ利用条件があり、それを満たせば誰でも申請できます。実際の申請は工務店が代行してくれることが多いため、手続きに悩む必要はありません。ただし、補助金には期限や予算上限があるため、制度の内容をよく理解したうえで、早めに動くことが大切です。

自然素材の家に利用できる具体的な補助金制度

自然素材の家に利用できる具体的な補助金制度について解説するイメージ

自然素材の家に利用できる補助金制度は複数あり、それぞれ制度の目的や対象、条件が異なります。すべての補助金が自然素材を前提にしているわけではありませんが、断熱性能や環境性能などが評価され、結果的に利用できる可能性があります。

自分が理想とする家の方向性と制度の内容が合っているかを見極めて、上手に活用しましょう。ここでは、代表的な3つの補助制度について紹介します。

子育てエコホーム支援事業(子育て・若者世帯向け)

子育てエコホーム支援事業は、子育てや住宅取得にかかる経済的負担を軽減しながら、断熱性や省エネ性に優れた住宅の普及を後押しすることを目的とした国の補助制度です。対象は、一定の年齢や家族構成の条件を満たした世帯で、性能基準を満たす住宅を新築または取得することで補助金を受けとれます。

□対象の世帯

・18歳未満の子どもがいる家庭
・夫婦のどちらかが39歳以下の家庭

□ 対象となる家の条件

・ZEH水準住宅:断熱等性能等級5以上、一次エネルギー消費量等級6以上の基準を満たした住宅
・長期優良住宅:耐震・省エネ・劣化対策・維持管理性能など、複数の国基準をクリアした住宅

□ 補助金の金額

・ZEH水準住宅:最大40万円
・長期優良住宅:最大80万円

この制度を活用したい場合は「子育てエコホーム支援事業に対応している工務店」へ依頼する必要があります。制度の公式サイトに掲載されている「登録事業者一覧」から地域の工務店を検索する方法が確実です。登録されていない会社では利用できないため、事前に確認しましょう。

申請の手続きはすべて工務店側が行ってくれるため、基本的に自分で手続きする必要はありません。ただし、地域型住宅グリーン化事業やZEH支援事業など、他の国の補助金とは併用できない点に注意しましょう。

子育てエコホーム支援事業(GX住宅対応 全世帯対象)

この制度は、先に紹介した「子育て・若者世帯向け」と同じ補助事業の中にある、もうひとつの枠組みです。GX(グリーントランスフォーメーション)とは、環境負荷の少ない暮らしを実現するために、住宅の断熱性やエネルギー効率を高めていこうとする国の取り組みです。

GX住宅対応枠では、年齢や家族構成に関係なく、すべての世帯が補助対象となりますが、対象になるには通常よりも厳しい性能基準を満たした住宅であることが条件です。

□対象の世帯

・年齢や家族構成に関係なく、すべての世帯が対象
(ただし、GX住宅対応の登録工務店を利用すること)

□ 対象となる家の条件

・断熱等性能等級6以上
・一次エネルギー消費量の削減率:再エネ除き35%以上 or 再エネ含めて100%以上
・HEMS(エネルギー管理システム)の導入

□ 補助金の金額

・ZEH水準住宅(GX志向型):最大80万円
・長期優良住宅(GX志向型):最大160万円

この制度も、GX住宅対応の登録工務店のみが利用できます。基本的に申請は工務店側で進めるため、書類作成や申請手続きを行う必要はありません。GX登録事業者を見つけたうえで、この制度を利用できるか確認し、依頼するようにしましょう。

参考文献:GX志向型住宅とは?補助金の条件・申請方法・必要な設備までわかりやすく解説

地域型住宅グリーン化事業

この制度は、地域の中小工務店が手がける高性能な木造住宅に対して、国が補助金を交付する取り組みです。地域経済の活性化と、環境に配慮した住まいの普及を同時に進めるのが目的です。性能に応じて複数の住宅タイプが用意されており、内容に応じた補助が受けられます。

□対象の世帯

・年齢や家族構成に関係なく、すべての世帯が対象
(ただし、事業に登録している中小工務店による施工が条件)

□ 対象となる家の条件

・長寿命型住宅:長期優良住宅かつZEH水準の省エネ性能
・ゼロ・エネルギー住宅型:年間の一次エネルギー消費量が概ねゼロ
・高度省エネ型住宅:認定低炭素住宅でZEH相当の性能

□ 補助金の金額

・長寿命型住宅:最大140万円
・ゼロ・エネルギー住宅型:最大150万円
・高度省エネ型住宅:最大90万円
(地域材・三世代同居・バリアフリー対応で加算あり)

申請手続きは、地域型住宅グリーン化事業に参加している工務店が一括して対応します。施主自身が補助金の申請書類を作成したり、役所へ提出に行ったりする必要は基本的にありません。

ただし、工務店によって対応できる住宅のタイプや申請枠が異なるため、補助を受けられるかどうかは契約前に必ず確認することが重要です。また、年度ごとに予算枠が限られており、申請のタイミングによっては受付終了となるケースもあるため、早めに相談することをおすすめします。

ZEH支援事業

この制度は、住宅の断熱性能を高めたうえで、太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用し、年間のエネルギー収支をゼロに近づける住宅(ZEH)を建てる人に対して、国が補助金を支給する取り組みです。申請には、国の登録を受けたZEHビルダーやZEHプランナーが設計・施工・販売を行うことが条件です。

□対象の世帯

・年齢や家族構成にかかわらず、すべての世帯が対象
(ただし、登録されたZEHビルダーまたはプランナーによる住宅であること)

□ 対象となる家の条件

・ZEH:断熱等性能等級5以上、創エネ設備の導入でエネルギー収支ゼロ
・ZEH+:断熱等性能等級6以上、さらにEV充電設備などの追加設備を2つ以上導入

□ 補助金の金額

・ZEH:55万円/戸
・ZEH+:100万円/戸
(別途、蓄電池などの導入により追加補助あり)

申請手続きはZEHビルダーまたはプランナーが代行します。施主自身が書類を提出する必要はありませんが、対応できる住宅タイプや補助金枠には限りがあるため、契約前に必ず補助対象となるかを確認し、早めに相談することが重要です。

ここまで紹介してきた制度は、それぞれで対象となる住宅や利用条件が異なり、原則としてこれらの補助制度は併用できません。どの制度を活用するかは、家の仕様や建築のタイミングに応じて慎重に判断しましょう。

スムースでは、自然素材の家づくりを通して、家族の暮らしや価値観に寄り添った住まいをご提案しています。補助金制度にも精通しており、対象となる制度のご案内から申請サポートまでトータルでサポート致します。

見た目の美しさだけでなく、長く快適に暮らせる住まいを一緒につくりませんか?自然素材の家に少しでも興味があれば、まずはお気軽にご相談ください。

地方自治体の独自制度も活用可能

地方自治体の独自制度も活用可能なことを解説するイメージ

国の補助制度に加えて、地域ごとに独自の住宅支援制度を設けている自治体も多く存在します。これらの制度は、地域資源の活用や定住促進を目的としており、補助内容や対象条件は自治体によって異なります。ここでは、複数の地域の取り組み内容について解説します。

滋賀県|木の香る淡海の家推進事業

滋賀県の「木の香る淡海の家推進事業」は、県産材「びわ湖材」を使用した住宅の新築・増築・改築・耐震改修に対し、最大で50万円(標準30万円)の補助が受けられる制度です。対象となるのは、一定量以上のびわ湖材を使い、「滋賀らしい環境こだわり住宅」整備指針に準じた設計で建てる一戸建て・共同住宅・店舗など。施工は県内の認定業者が行い、使用材は他の補助金を受けていないものに限ります。

申請にあたっては、設計図や材料の使用計画などを提出し、上棟後にはびわ湖材の使用状況を現地で確認します。その後、完了報告を経て補助金が交付されます。地域資源を活かした安心・快適な住まいづくりを後押しする制度です。

参考:木の香る淡海の家推進事業|滋賀県木材協会

河内長野市(大阪府)|おおさか河内材活用支援事業

大阪府河内長野市では、地域産の「おおさか河内材」を使って市内で住宅や店舗の新築・増改築を行う場合、最大200万円の補助が受けられる制度があります。補助は使用量(立方メートル)または使用表面積(平方メートル)のどちらかを選び、使用材の量に応じて金額が変動します。

申請には市の認定事業者から木材を購入し、工事開始前に交付申請・決定を受ける必要があります。受付は先着順で、原則としてその年度内(2月末まで)に工事が完了することが条件です。申請などに関しては、市役所で確認できます。制度の詳細や併用できる他の補助制度についても、事前に相談しておくと安心です。

参考:令和7年度「おおさか河内材」を使用した住宅・店舗等の補助金制度のご案内|河内長野市

宍粟市(兵庫県)|森林の家づくり応援事業

兵庫県宍粟市(しそうし)では、地域産材を活かした家づくりを支援する「森林の家づくり応援事業」を実施しています。住宅の新築や空き家の取得・改修において、条件を満たせば最大140万円の補助が受けられます。支援は、住宅取得(最大50万円)、市内事業者の活用(最大50万円)、地域材の利用(最大40万円)の3つの制度に分かれており、いずれも事前の申請が必須です。

契約前に事業計画書を提出し、工事後には必要書類を揃えて申請する流れとなります。補助は年度内の予算に応じて先着順で交付され、制度自体は令和11年3月末で終了予定です。詳細は宍粟市の住宅土地政策課で確認できます。

参考:住宅取得を支援(森林の家づくり応援事業)|河内宍粟市

 高山市(岐阜県)|匠の家づくり支援事業

岐阜県高山市では、市産材の利用促進と林業振興を目的に「匠の家づくり支援事業」を実施しています。対象となるのは、主要構造材の60%以上に市産材を使用する木造建築で、使用量に応じて最大50万円の補助が受けられます。

補助金は建築主や建築場所により分類されており、市内在住者が市内に建てる場合は構造材と内装材の使用量に応じて交付、市外で建てる場合や市外の建築主には、市産家具等を購入して建築主へ贈る形で支給されます。申請には指定の様式や木材の使用量の確認資料が必要です。詳細は市の公式サイトを確認し、該当するタイプをチェックしたうえで申請を進めましょう。

参考:匠の家づくり支援事業|高山市

住宅の補助金に関する注意点

住宅の補助金に関する注意点について解説するイメージ

自然素材の家を建てる際に活用できる補助金制度について解説してきましたが、実際に利用するとなると、事前に確認しておきたい注意点もいくつかあります。せっかくの制度を無駄にしないためにも、ここでは見落としやすいポイントを整理してお伝えします。

補助金は契約・着工前の申請が原則

住宅の補助金は、多くの制度において「契約や着工よりも前に申請しておくこと」が基本のルールです。たとえば「子育てエコホーム支援事業」などでは、交付決定の通知を受ける前に工事が始まっていると、補助の対象外になってしまいます。せっかく条件を満たしていても、タイミングを間違えると全額自己負担になる可能性もあるため、注意が必要です。

まだ契約前の段階から「この制度を使いたい」と工務店に相談しておくのが安心です。書類の準備ややり取りにも時間がかかるので、申請のタイミングには少しゆとりを持って動くのがポイントです。

制度ごとに申請窓口や時期が異なる

住宅に関する補助金は、制度ごとに申請の窓口や受付期間が異なります。たとえば「子育てエコホーム支援事業」では国の指定する事務局が窓口で、年度ごとに申請期限が設けられています。一方、「長期優良住宅」の認定は各自治体が対応しており、地域によって受付体制や必要な書類が異なる場合もあります。

申請のタイミングを間違えると補助を受けられなくなるため、活用を検討している段階で、必ず制度ごとの窓口とスケジュールを確認しておくことが大切です。施工を依頼する工務店に早めに相談すれば、制度の最新情報や必要な手続きについて具体的にアドバイスがもらえるはずです。情報の確認と相談を“セット”で動くのが失敗を防ぐポイントです。

基本的に補助金を活用する場合、申請手続きは業者が進めてくれるため、活用したいことだけ早めに相談しておきましょう。

予算上限に達すると受付終了することもある

住宅の補助金制度は、申請期間が決まっているだけでなく、予算の上限に達すると受付自体が早期終了することがあります。たとえば「子育てエコホーム支援事業」では、交付申請の総額が国の予算枠に達した時点で締め切られるため、申請期間中でも申請できなくなる可能性があります。

こうした事態を防ぐためには、制度の公表と同時に情報をチェックし、できるだけ早く申請準備を始めることが大切です。工務店と連携してスケジュールを立て、必要書類の準備や手続きを前倒しで進めておくことで、補助金を確実に受けられる可能性が高まります。のんびり構えていると、気づいたときには終わっていた…というケースもあるので注意が必要です。

申請には事業者の登録が必要な場合がある

住宅の補助金制度では、申請手続きを行うために国や自治体に登録された事業者を通す必要がある場合があります。たとえば「子育てエコホーム支援事業」では、登録事業者でないと交付申請を行えません。つまり、どの工務店でもいいわけではなく、制度ごとに対応しているかを事前に確認しておく必要があります。

対応していない業者と契約してしまうと、申請自体ができなくなる恐れがあるため要注意です。補助金を前提に家を建てたい場合は、相談時に「この制度に対応していますか?」と明確に聞いておくと安心です。契約後では遅いので、制度の検討と事業者選びは同時に進めることが大切です。

他の制度との併用に制限がある

住宅の補助金制度には、他の制度との併用に制限がある場合があります。たとえば「子育てエコホーム支援事業」では、同じ工事について国の他の補助金と重複して受けることはできません。ただし、市区町村の補助金など一部は併用できる場合もあるため、制度ごとに確認が必要です。

また、申請は工務店などが代行するケースが多く、その際に申請手数料や代行費がかかることがあります。事前に「この制度は併用できますか?」「申請代行に費用はかかりますか?」と確認しておくことで、後から余計なトラブルを防げます。補助金はお得な制度ですが、仕組みを正しく理解しないと逆に損をすることもあるため、慎重に進めることが大切です。

補助金制度を利用して自然素材の家への第一歩を踏み出そう

記事をまとめるイメージ

自然素材の家は、脱炭素社会の実現や再生可能資源の活用といった環境面でのメリットが大きく、国を挙げてその普及が後押しされています。具体的には、子育てエコホーム支援事業や地域型住宅グリーン化事業などがあり、一定の基準を満たせば補助金を受けることが可能です。

さらに、地域ごとに特色ある補助制度が用意されていることもあり、活用すれば建築費の負担を軽くすることができます。ただし、制度によっては申請のタイミングや併用の可否、登録事業者の制限などが設けられているため、事前に確認しておかないと利用できないケースもあります。内容をしっかり把握して、自然素材の家づくりを賢く進めましょう。

スムースでは、国産の自然素材をふんだんに使い、環境への配慮と心地よい暮らしを両立した住まいをご提案しています。補助金制度にもしっかり対応し、制度の選定から申請のサポートまで丁寧にお手伝いします。

自然素材の魅力を最大限に活かす設計力や、光・風・目線まで考え抜かれた「暮らしの道」の考え方、そして何より家族の想いに寄り添う姿勢が私たちの強みです。自然素材の家づくりを検討している方は、お気軽に「株式会社スムース」にご相談ください。