自然素材の家のメンテナンス方法を素材別で紹介!10年後や30年後にかかる費用も解説

家は数十年と長く住み続けるものだからこそ、良い状態を保つには定期的なメンテナンスが欠かせません。自然素材の家は、無垢材や塗り壁などの素材特性や経年変化の仕方が一般的な住宅と異なるため、お手入れの方法も変わってきます。

「自然素材の家に憧れるけれど、手入れが大変そう」「メンテナンス費用が高くつくのでは?」と心配されている方もいるのでしょう。この記事では、素材ごとのメンテナンス方法や費用の目安、長く快適に暮らすためのスケジュールについて、わかりやすく解説します。

自然素材の家のメンテナンスは一般的な家とどう違う?

自然素材の家のメンテナンスは一般的な家とどう違うのかを解説するイメージ

自然素材の家は、素材そのものが呼吸し、時間とともに変化していくため、一般的な住宅とは異なる特徴があります。当然ながら、メンテナンスの内容や頻度、かかる費用にも違いが出てきます。ここでは、自然素材の家ならではの視点で、維持管理のポイントを整理していきます。

メンテナンス頻度の違い

一般的な住宅で使われるビニールクロスや合板フローリングは、10年ほど手入れなしでも過ごせるものの、壁紙の張り替えや床の全面張り替えなど、大がかりな修復が必要になるケースがあります。

一方、自然素材の家は、たとえば無垢材の床であれば3〜5年ごとにオイル塗装をするのが理想で、漆喰や珪藻土の壁も小さな汚れや欠けを数年おきに補修します。頻度としては自然素材の方が高めですが、手入れは部分的かつ軽微なものが多く、素材の機能と美しさを長く保つことができます。

自然素材ならではの経年変化と向き合い方

一般的な家で使われる新建材は、年数が経つと黄ばみやヒビが目立ちやすく、古くなったように感じやすくなります。一方で、無垢材や漆喰、珪藻土といった自然素材は、時間とともに色や質感が少しずつ変わっていきます。

その変化は劣化ではなく、暮らしの跡として味わいが増すものです。自然素材の家は「直す」というより「育てていく」ような感覚で付き合っていく住まいです。素材の変化を前向きに楽しみながら、それに合った手入れをしていくことで、より深い愛着がわいてきます。

ランニングコストの比較

自然素材の家はメンテナンスの手間がかかる分、コストも高くなると思われがちですが、実際は一概にそうとは言えません。たとえば無垢材の床は表面を削って再生できるため、張り替えの必要が少なく長期的には費用を抑えられます。また、珪藻土や漆喰の壁は調湿・消臭効果があり、冷暖房にかかるエネルギーコストを間接的に下げる役割も果たします。

もちろん補修のタイミングによって差は出ますが、自然素材の家は“こまめに手をかけることで、結果的にコストを安定させられる住まい”といえます。

箇所別|自然素材の家のメンテナンス方法

箇所別|自然素材の家のメンテナンス方法について解説するイメージ

自然素材の家では、床・壁・天井など場所によってさまざまな素材が使われています。そして、素材の種類によってお手入れの仕方や注意点も変わってきます。ここでは、自然素材の家に使われる代表的な素材ごとに、基本的なメンテナンス方法をわかりやすくご紹介します。

無垢材部

無垢材は天然の木をそのまま使った素材で、調湿性や断熱性に優れており、時間が経つほどに味わいが増していくのが特徴です。ただし、表面加工された合板フローリングと違い、水や傷には弱く、日々の扱いには注意が必要です。普段のお手入れは、乾いたモップや柔らかい布でホコリを取り除く程度で十分ですが、水拭きは極力避け、どうしても必要な場合は固く絞った布で軽く拭きます。

メンテナンスに関しては3〜5年を目安に専用のオイルを塗って保護してあげます。作業は、表面の汚れを落としたあとに無垢材用の自然系オイルを布に取り、木目に沿って均一に塗り込んでいきます。塗り終えたら15〜30分ほど置いて、表面に残ったオイルを乾いた布でしっかり拭き取ります。

オイルが残っているとベタつきやムラの原因になるため、丁寧に行いましょう。仕上げたあとは、できれば12〜24時間は換気をしながら乾燥させ、塗装面を踏まずに過ごすのが理想です。乾燥中は窓を開けたり、扇風機を弱風で回すと、乾きが早くなります。

珪藻土

珪藻土は、植物プランクトンの化石からできた自然素材で、無数の小さな孔が湿気を吸ったり吐いたりする性質を持ちます。結露を防ぎ、室内の空気を整える働きがありますが、表面が非常にデリケートで水分や摩擦に弱い点には注意が必要です。

普段のお手入れは、乾いたハタキや柔らかいブラシでホコリを落とす程度で十分です。手垢などが気になる場合は、プラスチック製の消しゴムで軽くこすると汚れを目立たなくできます。飲み物などで濡れてしまった場合は、乾いたタオルで押さえるように吸水し、決してこすらないようにしましょう。

深いシミや剥がれは、自分での補修が難しいため、補修用のパテや塗材を使うか、業者に相談するのが安心です。なお、掃除機を使うときはブラシ付きノズルを使用し、壁に優しく当てるようにしましょう。

漆喰

漆喰は、消石灰を主成分とする自然素材の塗り壁で、昔ながらの日本家屋にも多く使われてきた素材です。湿気を調整したり、空気中のカビや菌の繁殖を抑える効果があり、防火性にも優れています。施工後は空気中の二酸化炭素と反応して硬化が進み、年数を重ねるほど独特の味わいが出てきます。

ただし、漆喰はアルカリ性のため、果汁やコーヒーといった酸性の液体が付着するとシミになりやすい点には注意が必要です。普段の掃除は柔らかいハタキで軽くホコリを払うだけで十分で、手垢などの汚れが気になる場合は、消しゴムで優しくこすれば目立ちにくくなります。

水拭きは避けるのが基本ですが、どうしても拭き取りたいときは、固く絞った布で軽く叩くように行いましょう。経年で細かなひび割れ(ヘアクラック)が出ることがありますが、構造上の問題ではなく補修も可能です。気になる箇所は漆喰専用の補修材で自分でも直せますが、大きな欠けや広範囲の色合わせが必要な場合は専門業者に相談するのが安心です。

シラス壁

シラス壁は、南九州産の火山噴出物「シラス」を主原料とした自然素材の塗り壁です。微細な多孔質構造により、調湿・消臭・断熱性能に優れ、化学物質を使わない安心感も魅力です。ただし表面はやや柔らかく、こすれや衝撃に弱い面があるため、丁寧な扱いが必要です。

手入れは柔らかいハタキやブラシで軽くホコリを払うだけで十分です。手垢などの軽い汚れは、消しゴムでやさしくこすると目立たなくなります。水拭きは避け、濡れたまま放置するとシミになることもあるので注意しましょう。

小さな傷であれば、補修用のパウダー材で自分でも補修可能です。広範囲の場合や色合わせが必要なときは、施工業者への相談をおすすめします。

自然素材の家のメンテナンス費用はどれくらい?

自然素材の家のメンテナンス費用はどれくらいなのか解説するイメージ

家のメンテナンスで多くの人が気になるのが費用面です。当然ながら、一般的な住宅と自然素材の家ではかかるコストの考え方やタイミングも異なります。ここでは、素材ごとの維持費のイメージや築年数ごとの目安、自分で対応できる範囲について整理していきます。

素材ごとの維持費のイメージ

自分で軽度なメンテナンスを行う範囲であれば、自然素材の維持費は意外と高額にはなりません。専用のオイルや補修材はホームセンターや通販でも手に入り、数千円ほどで対応できるケースが多くあります。DIYメンテナンスした場合の費用目安は以下の通りです。

素材 主なメンテナンス 維持費目安
無垢材 3〜5年ごとにオイル塗装 5,000〜10,000円/回(道具込)
漆喰 ひびや欠けの補修(手作業可) 1,000〜2,000円/回(補修材)
珪藻土 シミや欠けの補修(軽作業) 1,000〜2,000円/回(補修材)
シラス壁 シミや傷を補修材で修復 1,000〜2,000円/回(補修材)
そとん壁 基本メンテナンス不要。雨で汚れが流れる ほぼ不要(10年〜無塗装維持)

ただし、壁一面の塗り直しや広範囲の補修などを業者に依頼する場合は、素材や施工方法によって費用が大きく変わります。目安としては1㎡あたり3,000〜8,000円程度、さらに足場が必要な外壁施工では10万〜20万円ほど別途かかることもあります。

 築10年・20年でかかるメンテナンス費用の目安

自然素材の家は、日々のちょっとしたお手入れを続けていれば、大がかりな修繕が必要になるケースはそれほど多くありません。築10年を過ぎる頃くらいまでは、無垢材の床のオイル塗装(5,000〜1万円程度/DIY)や、漆喰や珪藻土の壁の軽い補修(補修材1,000〜2,000円程度)といった対応で問題ないケースがほとんどです。

築20年を超えると、経年劣化による変化が目立ってくるため、希望によっては壁や床の広範囲な補修や張り替えを検討する人もいます。業者に依頼した場合、たとえば自然素材の内壁を一面塗り直すと3万〜10万円前後、無垢フローリングの張り替えは10万〜30万円程度かかるケースもあります。

とはいえ、こうしたメンテナンスを「必ずやらなければ住めない」というわけではなく、自然素材ならではの風合いを楽しみながら、手を入れるかどうかを自分のペースで決める人も多くいます。

自分でできるメンテナンスと業者依頼の分かれ目

自然素材の家は、時の流れとともに深まる風合いや色味も魅力のひとつです。多少の色ムラや小さな傷を「味」として楽しむ方も多く、メンテナンスをするかどうかに正解はありません。無垢材の床のオイル塗装や、漆喰・珪藻土の小さな欠けの補修程度であれば、市販の材料と道具を使って自分でも対応できます。

一方で、壁一面の塗り直しや大きな割れ、下地の傷みがある場合は、仕上がりの美しさや安全性を考えて業者に任せた方が安心です。暮らし方や気になるレベルに応じて、無理のない方法を選ぶのが自然素材の家の良さです。

株式会社スムースでは、家づくり後も『住むサポーター』として、お客様の暮らしを長く支える体制を整えています。定期点検サービス『住むサポ』では、約40項目にわたるチェックを実施。メンテナンスの判断が難しい場合でも、気軽に相談できるので安心です。

10年・30年先まで安心できる自然素材の家のメンテナンススケジュール

10年・30年先まで安心できる自然素材の家のメンテナンススケジュールについて解説するイメージ

家に長く住み続けていくうえで、適切なタイミングでのメンテナンスは欠かせません。その内容をあらかじめ把握しておくことは、安心して暮らしを続けるための大切な準備ともいえます。ここでは、築年数ごとに意識しておきたいポイントや、点検・補修のベストなタイミングについて紹介します。

築5年・10年・20年でやるべきこと

自然素材の家は、年数とともに風合いが増し、暮らしに馴染んでいきます。築5年頃は、無垢材の床に小傷がついたり、壁の一部に手垢やヤニ汚れができたりする時期です。必要に応じてオイル塗装や軽い補修を検討しましょう。築10年になると、日焼けによる色の変化や素材の乾燥収縮が進み、部分的に再塗装や補修を行うケースも増えてきます。

そして築20年を過ぎると、素材そのものの味わいは深まる一方で、水回り設備や外壁・屋根といった構造部分に点検や修繕が必要になることもあります。ただし、こまめに手入れをしていれば、必ずしも大がかりな工事が必要になるとは限りません。暮らし方や感じ方によって、手を入れる時期も人それぞれです。

メンテナンスにしっかり取り組みたい場合は、素材に関する知識を深めるのはもちろん、アフターフォロー体制の整った工務店を選ぶことも大切です。家づくりの段階から、施工後のサポートまで見据えた工務店選びを心がけましょう。

定期点検や補修の適切なタイミング

自然素材の家は、色味の変化や風合いの深まりも魅力のひとつです。そのため「いつ補修すべきか分からない」と感じる方も少なくありません。目安としては、床のきしみが増えた、壁のひび割れが指でなぞって分かるほどになった、雨染みやカビ臭がする、水まわりの配管音が変化した、などの兆候があれば点検を検討すべきタイミングです。素材の性質を知っておくことも、適切な対応につながります。

メンテナンスをしないリスクについて

自然素材の家は、こまめに手をかけていれば経年変化も魅力として楽しめます。ただし「手入れ不要な家」というわけではありません。たとえば高温多湿な地域で、無垢材の床を長期間放置すれば、表面が毛羽立ったりカビが生える可能性があります。

また、漆喰や珪藻土の壁も、汚れや小さなひびを放置すると湿気が内部に入り込み、剥がれてしまうケースもあります。こうした変化は、住まい方や地域の気候によっても差が出るため「異変かも」と思った時点で早めに点検・補修することが、トラブルを防ぐうえで大切です。

自然素材の家のメンテナンスに関するよくある質問に答えていくイメージ

 

ここまで自然素材の家のメンテナンス方法について解説してきましたが、まだまだ気になることがある方もいるでしょう。最後は、メンテナンスに関する3つのよくある質問に答えていきます。内容を理解したうえで自然素材の家を検討してみてください。

自然素材の家はメンテが大変って本当?

自然素材の家は、いろいろとお手入れが大変と思われがちですが、大変ではありません。たとえば無垢材の床は、毎日手をかける必要はなく、数年ごとにオイルを塗るだけで美しさを保てます。

漆喰や珪藻土の壁も、多少の汚れやひびは味わいとされるため、必ずしも完璧に補修する必要はありません。専門的な作業や知識を求められるケースは少なく、自分のペースで手を入れていく暮らし方が基本です。

関連記事:自然素材の家は後悔する?よくあるデメリット・失敗例と対策をわかりやすく解説

忙しくて自分で手入れできないけど大丈夫?

自然素材の家は、毎日特別なお手入れが必要というわけではありません。普段の掃除と同じように、ホコリを払ったり、汚れが気になった部分だけ軽く拭いたりする程度で十分です。忙しくて時間が取れない方でも、無理なく暮らせます。

どうしてもお手入れが苦手だったり不安を感じる場合は、施工した工務店に定期点検やメンテナンスの相談をするのもひとつの方法です。サポート体制が整っている会社を選んでおけば、将来的にも安心です。

 10年点検や業者対応って強制?

10年点検は法律で義務づけられているものではありませんが、構造部分や雨漏りといった重大な不具合を早期に発見するため、多くの工務店が実施を推奨しています。長期優良住宅の場合は、10年ごとの点検と記録が義務になっており、怠ると補助金の返還や税制優遇の対象外になることもあります。

点検の内容は、屋根・外壁・床下などの目視点検が中心で、対応するのは基本的に施工した業者です。ただし、メンテナンスを行うかどうかは住まい手の判断であり、あくまで安心のための機会ととらえるのが自然素材の家らしい付き合い方です。

メンテナンスに不安がある人こそ自然素材の家がおすすめ

記事をまとめるイメージ

自然素材の家と一般的な住宅では、使われている素材や時間の経過に対する考え方が大きく異なります。自然素材は、経年によって見た目や質感が変化していきますが、それは劣化ではなく“味わい”として楽しめるものです。

特別に手間がかかるわけではなく、無垢材の再塗装や壁の軽い補修といった方法で、無理なく健康な状態を維持できます。20年、30年と時間が経つほどに、家に深みが増していくのも自然素材ならではの魅力です。そのためにも、暮らし方に合った工務店を選び、アフターサポートや相談しやすい体制が整っているかどうかも大切なポイントです。

スムースでは、自然素材の家を安心して長く住み継いでいただけるよう、住宅瑕疵担保保険20年保証や地盤保証、白蟻対策「緑の柱」など、各種サポートを充実させています。定期点検やメンテナンスのスケジュールも共有し、一生のお付き合いを前提とした家づくりを大切にしています。自然素材のことでしたらお気軽にお問い合わせください。