大豆と麹のいいにおいに包まれて、はじめてのお味噌づくり。

先日、2月18日、暮らしを楽しむ会の「滋賀県産の大豆とお米でつくる手作り味噌の会」が行われました。教えてくださったのは、いつも薬膳の会でお世話になっている、はれベジ+ 森玲子さんです。今回のワークショップにも沢山の方がご参加くださいました。ご参加くださった皆さま、お越しいただきありがとうございました。

お味噌を自分で作る、というのが初めての方も、経験ある方もいらっしゃったと思いますが、皆さん自分で作った出来立てお味噌を抱えて帰られた後、きっと家で、お味噌の置き場所を考えて、食べ頃になるまで楽しみにしておられることと思います。

食べ頃はまだ先ですが、ときどき気にかけながら待つ時間も嬉しいですよね。

実は皆さんが帰られた後、午後から私たちスタッフ向けにも、森さんがワークショップをしてくださりました。それに私も参加させてもらいました。午前中のワークショップの時にキッチンから漂ってくる何とも言えない、いい匂いはこれだったのか~と感激しながら、はじめてのお味噌づくりを体験しました。

 

お味噌の材料は、いたってシンプル。【大豆・お米・塩】の3つです。

あらかじめ、大豆は蒸しておき、お米は米麹にしておきます。今回は時間の都合上、森さんがこの工程を事前にしておいてくださりました。これが一番時間がかかる作業です。

工程としては、この米麹に、塩と、蒸してつぶした大豆を混ぜて出来上がりです。

↑こちらが米麹。

そもそも私自身はお味噌や麹の知識がぜんぜんなく、いつもお味噌汁を飲んでいるけど、大豆からできていて発酵食品なこと、といった漠然としたイメージしかありませんでしたが、お味噌づくりの工程のほか基本的なところから、ひとつひとつ森さんが丁寧に教えてくださいました。

たとえば麹が、蒸したお米や麦に麹菌というカビの一種が生えたもので、味噌はこの麹を使って大豆を発酵させるということや、米麹は味噌だけでなく醤油・お酒など日本の料理に欠かせない調味料の元になっていて、甘酒や塩麹も米麹から作られているといったことなど・・・etc

たびたび、参加したスタッフみんなからも「へぇ~!!」という驚きや感心の声が上がっていました。

↑これは種麹といって菌の種。写真は分かりづらいですがお抹茶の粉のようでした。これと蒸したお米とを混ぜあわせ、発酵させたものが米麹。のぞき込ませてもらう時、思わず息もまばたきも止めてしまう。

↑これは蒸した大豆をつぶしているところ。蒸したて熱々だから、アッ!っと言いながらみんなで手のひらや指先でペースト状に。この時残っているツブツブ感が、お味噌汁の時のあのツブツブ感になります。

大豆がつぶせたら、いったん大豆は横に置いておいて、次は米麹に塩を混ぜます。麹の塩切りという作業。森さんが米袋から米麹をテーブルに広げながら、「ここからが一番幸せな作業」とおっしゃっていたのが印象に残っています。

手で米麹を一粒ずつバラバラにほぐし、塩をまんべんなくしっかりと混ぜます。そして麹の塩切りができたら最後に、つぶしておいた大豆と混ぜてお味噌の完成です。

森さんがおっしゃっていた通り、この作業はとても心地が良くて、大豆と米麹の甘くてすこし酸っぱい匂いに包まれて、手に伝わる初めての感触と相まって、すごくリラックス。頭も心もほっこりしました。

それに、みんなでテーブルを囲み作業しながら聞いた話も心に残っています。

お味噌は各家庭で味が違うそうで、それは麹や大豆を混ぜる際、人の手の皮膚にいる常在菌が味を左右させているかららしいのです。常在菌が一人一人違うからなのと、発酵期間の温度や湿度などの環境の違いもあって、各家庭の味が出来上がる。驚きですよね。

これは、おにぎりにも言えることだそうで、素手で握ってくれたお母さんのおにぎりが美味しいのは、この常在菌と関係があるようです。お母さんは自分の菌(愛?)を子どもに与え、子を育て、母子のつながりを育む。

これには、ものすごく思い当たる節がありました。私は5歳の娘がいるのですが、忙しいとついついサランラップおにぎりにしてしまっていました。ほどんど9割くらいの確率で。サランラップだと手がベトベトになった~と言わないのでスムーズなのですが、でも頭の片隅には、昔、母が握ってくれていたあのおにぎりの味がかすめていました。だから、この話を聞いてからは、なるべく素手でおにぎり作ってあげようと思いました。(でもその後、素手おにぎりを作ったところ「ベトベトになるし、サランラップして!」と言われてしまいました。ショック~!)

完成したお味噌は、ここから発酵させてしっかり寝かせて、お盆明け頃から食べられるということです。お味噌づくりは冬の時期が本番。秋に収穫した大豆を年明けに味噌に仕込む。農業の閑散期のタイミングに合わせた理にかなったサイクルなんですね。気温が暖かくなってからの仕込みもあるそうですが、寒い時期に仕込まれた味噌は、ゆっくりと時間をかけて熟成が進みとても美味しいのだそうです。すごく楽しみです!

今回、ワークショップに参加させてもらって、はじめての体験やお話を聞くことができてすごく有意義な時間でした。特に日頃から馴染みのあるお味噌のことを知って、これまでになかったイメージを持つことで、これからは違った見方でお味噌を楽しむことができる気がしています。教えてくださった森さん、本当にありがとうございました。

新しいことをやってみると、想像以上に発見や面白さがみつかる。
これから季節も春、新たに何かにチャレンジしてみるのもいいですね!

スムースの「暮らしを楽しむ会」では、これからも月一回、さまざまなワークショップを行ってまいります。3月も今回に続き、森さんのワークショップ「薬膳 春の会」が、3/3(月)に開催予定です。皆さまのお越しをお待ちしております。

中村 朋子

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