2019年最終号。今年の出会いから生まれたモノ。

- 日々のこと

2019年ももうすぐ終わろうとしています。この1年、スムースでは家づくりやマルシェなどを通してたくさんの出会いがありました。その中のひとつの出会いを今回は紹介します。

皆さん、工事中の建物を覆っているシートをご存知ですか?

一度は見たことがあると思います。現場シート、養生シート、足場シートなど呼び名は色々ありますが、建設中の住宅など建物を覆って、現場の周辺に物が落ちたり飛び散ることをしない役割があります。よく建物の正面など目のつくところに自社のオリジナルデザインで目立たせたり、面白いキャッチフレーズを載せてその会社の広告代わりになっていることも多いです。

スムースでも建築中のお家にはロゴの入った現場看板シートを付けていました。

今年、新しく現場看板シートを作り替えようということで話を進めていたのですが、そうした中、現在ドイツ在住で、いつもスムースのホームページ等をディレクションしていただいている、島崎慎也さんからこんなお話を聞きました。

「ドイツの工事現場で、アーティストが描いた絵をシートにし、ビルの壁面に付けていて、それが美術館の壁の様だった。街の景観にあったシートでとてもよかったです。」と。

実際、日本でも「家づくりの現場をアート化する」という試みがあること、そしてそれは街の景観や施主様にも配慮されたシートだということも聞き、スムースとしてもぜひ参考に取り組みたいと考えました。

・スムースの想いを感じられる絵や文字

・見る人がホッとなったり、心が優しくなる

・できれば、スムースのある滋賀県の作家さん

スムースがこうした考えを持って出会ったのが、滋賀県在住のイラストレーター 洞 智子さんでした。

初めて作品をインスタグラムで見たとき、優しい色使いと鉛筆で描かれる繊細なタッチ、そしてなんとなく懐かしい気持ちになる温かみのある絵に一瞬で心を奪われました。

そして、実際に洞さんとお会いして、話されたときの柔らかい口調や面白い家族のエピソードなどを聞かせてもらってその人柄が絵に表れていると感じました。

家づくりは何か月も長くかかるもの。着工のときは秋でも、冬を越えて春に完成したり。打合せも含めると1年かかることも。そんな長い時間をかけて建てられる家。

「最初ここに来たときは葉が色づいていたのにね。上棟の時はとても寒かったよね。完成した今、ちょうど桜が咲く季節だね。」こんな風に四季を感じながら行われる家づくり。四季のある日本だから、四季を感じられる現場看板シートを… そう想い、洞さんにお願いしました。

何度も打合せをして、出来上がったのがこちらです。

(↑ 1枚目はラフスケッチ)

春夏秋冬の季節の花が一枚のシートに描かれています。

一枚目には、
沈丁花(春)、芙蓉(夏)、金木犀(秋)、南天(冬)。

二枚目には、
ドウダンツツジ(春)、ノウゼンカズラ(夏)、萩(秋)、椿(冬)。

それぞれの花言葉を調べて、家族の幸せと発展を想い、描いてくださいました。
鉛筆と色鉛筆のみで描かれた絵は、本当に優しくホッと心が落ち着きます。

シートの中心には、ひと言の言葉を添えました。

一つ目は、スムースが大事にしている「何でもない、でも大切な日。」

何気ない日々の繰り返しの暮らしの中には、いつもかけがえのない大切な時間が流れている、何でもない日々が何より大切な日々ということ。スムースがいつも伝えたい想いです。

そして二つ目は、「ひと呼吸。」

毎日慌ただしく過ごす毎日。ふと見上げた時に目に入るこの言葉で、ひと息ついて、大きく呼吸を整えてもらえたら、と願ってこの言葉にしました。

この現場看板シートが街に溶け込み、そこに過ごす人たちが見るたびに優しい気持ちになれますように。そして何より、施主様がここにふるさとを作り、この絵の中の花や樹を新しい家の庭に植えたいなというきっかけとなり、この花を見るたびに家づくりを思い出してもらえたら嬉しく思います。

洞さん、素敵な絵をありがとうございました。出会えたことに心から感謝します。

洞さんの作品は滋賀県にたくさん見られるところがあります。
琵琶湖博物館や、草津近鉄内の本屋さん、日野町の町営バスなどなど。ぜひ、この冬休みに足を運んで、洞さんの作品に触れてみてくださいね。

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