相続
定期点検に行くと、家のメンテナンスの話より親御さんやご実家の話が多くなってきたのは約10年前の事です。
当時は聞いているだけでしたが、実家の売却や、リフォームの相談を現実に対応することになってきて、何より家を建てられた方も40歳代から50歳代になられて、ご両親も高齢になってきて、どちらかというと人生の先輩的な立ち位置でお話を伺うことが増えてきました。
「家族の幸せ」を軸に家づくりを通して事業を行ってきましたが、ご両親の事も対応していくのが自分のやるべきことかなと思い、もう一つの事業の柱として「相続」というものをやろう!と決意したのが5、6年前です。
当時はコロナ真っ只中で、在宅の時間を活用して、オンラインで相続アドバイザーを取得し、繋ぐ相続サロンというコミュニティにも加入し、相続の勉強をしました。また、アメリカの資格ですが、CPMという米国不動産経営管理士という資格も取りました。そして、その後に起ち上げたのが「一般社団法人 くさつ市民相続相談センター」です。
相続は「財産」と「家族」のことが大きく関係しています。ほとんどの方が「家族に迷惑をかけたくない」と思っています。相続と調べると、家族のことを想い財産を引き継ぐこととあります。相続は税金の事や、登記、遺言書などの手続きに関することがまず思い浮かびますが、その中には家族の問題、親子や兄弟のこと、気持ちや想いの部分がとても重要になっています。聴いてほしいという前に誰に相談したら良いか、ちゃんと聴いてくれるのかが心配になられている方がほとんどです。
司法書士や税理士が一般的に窓口になっていますが、士業の方は手続き業務を仕事にされていて、サービス業ではないので時間を気にされている方がほとんどです。結局、何が優先で、どうされたいのですか?との視点で対応して、それを聴きに来られているのに、聴くスタンスより教えるスタンスが大きいように感じます。ただ、僕たちは資格者ではないので法的な手続きやアドバイスは出来ません。
そこで、センターのメンバーには友人や先輩で相続を得意としていて、またちゃんと聴くスタンスでやっている司法書士、税理士、弁護士、宅建士、ファイナンシャルプランナー、そして、センターの専属相続アドバイザーも含め、代表として僕が建築士で構成してスタートしました。
工務店が相続をするという初の試みで4年前に起ち上げました。毎月数回をキラリエ草津で無料相談として、始めましたが1年目は月に数組程度しか来られずで、先生の横に同席してどう運営していくのか、どうすれば安心してもらえるのか試行錯誤で始めました。今年で4年目を迎え、今では月に30組前後の方が相談に来られます。

相続の手続きは各先生の分野に分かれるので、一般的にはひとつひとつお客様自身で対応しなければならないので、とても負担と不安が付きまといます。
僕たちは全ての手続きをトータルでサポートして、まず安心してもらえるように聴くことに徹しています。手続きが入口ですが、本当のニーズは何なのか、心の奥にある想いは何なのか、相続相談の専門家として、想いをカタチにしてあげるのが役目だと考えています。
“夫が亡くなり、どうしたらよいかわからない。” “遠方の両親のことが心配です。” “実家をどうするのか?” “子どもたちに資産を整理して残したい、安心させたい。” “私たちが安心して生ききる準備をしておきたい。” “相続のことを何からすればいいのか・・・” 様々の内容の相談を受けるようになりました。今では紹介も多く、喜んで頂いています。

相続というのは、地域の工務店が対応すべき事業と考えています。自分としては家づくりだけではなく家族の幸せからブレずに事業をするという信念は曲げたくない思いがあります。
次の展開は空き家問題や、不要土地の対応、遠方の実家の対応、両親が住んでいた家など、お困りごと専門の不動産事業として、昨年に株式会社BATON(繋ぐ)を作り、すでに対応を始めさせて頂いています。中には山や田などもあり、とてもやりがいがあります。スムースのオーナーさんからも相談が増えてきて、始めたきっかけである対応にも出来てきて嬉しい限りです。最近は全国の工務店仲間が今回の事業の内容を見に来られます。今後はこのノウハウを伝えていこうと思っています。先ほど伝えましたが、地域工務店が地域の暮らしを提供すべきと考えているからです。

家を建てさせて頂いて、ありがとうを沢山頂きます。本当にありがたいごとです。相続というサポートを始めて、あなたに出会えて良かったと言われることが多くなりました。最大級のお褒めの言葉です。家族の幸せからブレない、これを軸に進んでいきます。

(ichikawa)
滋賀県(草津市・大津市・守山市・栗東市・近江八幡市・湖南市中心)
木の家・自然住宅をお届けする注文住宅・工務店・新築「スムース」